1996年、ヒマラヤ・マカルー西壁。
かつて、世界最難関の巨壁に、たった一人で挑んだ若者がいた。
伝説のクライマーの足跡を、貴重な未公開ソロ登攀映像とともに振り返る《渾身》のドキュメンタリー。
その人の名は、山野井泰史。2021年、登山界最高の栄誉といわれる、「ピオレドール生涯功労賞」をアジア人として初受賞。ラインホルト・メスナーやヴォイテク・クルティカなどと並んでクライミングの歴史にその名を刻むこととなった登山家だ。本作は、世界の巨壁に《単独・無酸素・未踏ルート》で挑み続けた彼の足跡を、貴重な未公開ソロ登攀映像や生涯のパートナーである妻・妙子への取材、関係者の証言などとともに振り返る《渾身》のドキュメンタリー。
はじまりは1996年、ヒマラヤ最後の課題といわれる「マカルー西壁」に単独で挑むという《究極の挑戦》への密着取材。その後、山野井をめぐっては、2002年に沢木耕太郎の著作「凍」でも描かれたギャチュンカン登頂後の壮絶なサバイバルがあり、凍傷で手足の指10本を失うことになった。2008年には奥多摩山中で熊に襲われ重傷を負うアクシデントにも遭った。それでもなお“垂直の世界”に魅せられ、挑戦し続ける登山家の魂にカメラは迫る。―山野井はなぜ登るのか?死と隣り合わせの標高8000m超で彼が見たものとは?そして、彼は何故、生きて還り続けることができたのか?
ナレーションは、今回初めて“語り手”としてドキュメンタリー映画に参加する岡田准一。監督は自らもヒマラヤ登山経験のあるジャーナリスト・武石浩明。長期に渡る取材を通して《極限の人》の実像に迫る、唯一無二の作品を作り上げた。
- 太田光 ”繋がっていたい”編
- 太田光 ”芸人なんかも”編
- 太田光 ”同い年なんでね”編
- 予告編
- 赤ペン瀧川が解説!
「DOCS」とは、“DOCUMENTARY FILMS”の略称
(海外ではドキュメンタリー作品を“ドックス”と呼ぶ)
2021年11月、TBSは国内を、世界を震わせるドキュメンタリー作品を展開するにあたり、新ブランド『TBS DOCS』を立ち上げた。ニュースには「続き」がある。『TBS DOCS』は、歴史的な事件や今起きている出来事、市井の人々の日常を追い続け、テレビでは伝えきれない真実や声なき心の声を、記者たちの熱い想いと共にドキュメンタリー映画として世の中に発信し続ける。本作品も新たに加わった『TBS DOCS』の今後の展開にご期待ください。
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俳優岡田准一
僕自身山好きで、クライマーは憧れの存在。なかでも山野井さんは、混じり気のない眩しい存在で、その純度の高い生き方には美しさを感じます。日本が誇る、知ってもらいたい日本人の一人です。
今回、初めて“語り”という形でドキュメンタリー映画に参加しました。
本編中にはヒマラヤで行方不明になった知人の姿も映っていて、言葉に詰まってしまう瞬間もありました。極限に挑むクライマーの“魂の震え”を感じ、勇気がもらえるドキュメンタリーです。是非、ご期待ください。 -
山野井泰史
篠原さん、宇佐美さん、石坂さん、野田君、今井君、一村君。
ドキュメンタリー映画が完成したようです。
幸か不幸か、これで僕は少し有名人になってしまいますが・・・。
皆さんの顔を思い浮かべながら、これからも魅力的な山や岩壁を探し、派手ではなくても自分の中での最高のクライミングを求めていきたいと思っています。47年前「山」に出会えて本当に良かったなと、映画を見てしみじみと感じています。
1965年4月21日生まれ。東京都出身。中学3年のときに日本登攀クラブに入り、高難度のフリークライミングから海外のビッグ・ウォールまで、常に先鋭的な登攀を続けている。主な記録は88年のバフィン島(カナダ)トール西壁ソロ、90年とフィッツ・ロイソロ、92年のアマ・ダブラム西壁冬季ソロ、94年のチョー・オユー南西壁新ルートソロ、95年のブブリモティン南西壁初登、00年のK2南南東リブ無酸素ソロなど。02年秋にはヒマラヤのギャチュン・カン北壁ソロ登頂に成功するものの、帰路に雪崩に遭い、両手および右足の指を計10本失う代償を払うことに。この登攀を含めた近年の目覚ましいアルパインスタイルでの登山が評価され、2002年の朝日スポーツ賞、植村直巳冒険賞を受賞。2021年には、数々の登攀登山についての功績が評価され、登山界のアカデミー賞とも言われるピオレドール2021生涯功労賞に輝いた。
山野井泰史 主な登攀記録
- 1965
東京に生まれる
- 1980
日本登攀クラブに入会
- 1987
ヨセミテ エル・キャピタン「ラーキングフィア」 ●単独第三登
アルプス ドリュ(3733m)西壁「フレンチディレッティシマ」
●単独初登 - 1988
カナダ北極圏バフィン島 トール西壁 ●単独初登
- 1990
パタゴニア フィッツ・ロイ ●冬季単独初登
- 1992
ネパール アマ・ダブラム(6812m)西壁新ルート ●冬季単独初登
- 1994
チベット チョー・オユー(8201m)南西壁新ルート ●単独初登
- 1995
パキスタン ブブリモティン(6000m)南西壁 ●初登
- 1996
ネパール マカルー(8463m)西壁 単独、敗退
- 1998
ネパール クスム・カングル(6367m)東壁 ●単独初登
- 2000
パキスタン K2(8611m)南南東リブ ●単独初登
- 2001
パキスタン ビャヒラヒタワー(5900m)南壁 ●初登
文部科学大臣スポーツ功労賞 受賞 - 2002
チベット ギャチュン・カン(7952m)北壁 ●第二登
朝日スポーツ賞、植村直己冒険賞 受賞 - 2005
中国四川省 ポタラ(5428m)北壁 ●単独初登
- 2007
グリーンランド オルカ ●初登
- 2013
ペルー プスカントゥルパ東峰(5410m)南東壁 ●初登
- 2017
インドヒマラヤ ルーチョ(6000m)東壁 ●初登
- 2021
ピオレドール生涯功労賞 受賞
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監督武石浩明
いまや登山界のレジェンドとなった山野井泰史さんですが、40年以上の登山人生の中で、実力が最高のときに挑んだのがマカルー西壁への「究極の挑戦」でした。それは山野井さんが最初で最後にソロクライマーとしての山登りを他人に見せた瞬間でもありました。あれから25年、山野井さんの軌跡と現在を織り交ぜることで、あの「究極の挑戦」がくっきりと浮かび上がりました。人生をかけた目標を持ち、命をかけて限界に挑み続ける山野井さんを見て、何かを感じていただければこれ以上の喜びはありません。
1967年4月19日生まれ。千葉県出身。91年、TBS入社。報道局社会部で警視庁記者クラブ、司法記者クラブキャップ、デスク、社会部長を歴任。夕方のニュース番組では「ニュースの森」特集担当ディレクター、「イブニングファイブ」デスク、「Nスタ」チーフプロデューサー、朝の情報番組「モーニング Eye」ディレクター、「みのもんたの朝スバッ!」チーフプロデューサー、特別番組「報道の日2021」総合プロデューサーなどを担当。第1回TBSドキュメンタリー映画祭で「GReeeeN 初告白~東日本大震災から5年 HIDEが語ったこと~」を初監督。TBSテレビ報道局次長、解説・専門記者室長を経て、現在は出向先の富山のTBS系テレビ局チューリップテレビの報道制作局専任局長。登山では、中国のチョモロンゾ7816mを未踏ルートから初登頂などヒマラヤ登山を複数経験。母校の立教大学山岳部監督も務めている。趣味はトレイルラン、野菜作りなど。
- 撮影:沓澤安明 小嶌基史 土肥治朗
- 編集:金野雅也 MA:深澤慎也 選曲:津崎栄作
- 企画・エグゼクティブプロデューサー:大久保竜
- チーフプロデューサー:松原由昌
- プロデューサー:津村有紀
- TBS DOCS事務局:富岡裕一
- 協力プロデューサー:石山成人 塩沢葉子
- 製作:TBSテレビ 配給:KADOKAWA
- 宣伝:KICCORIT
- 2022年/日本/109分/5.1ch/16:9
爆笑問題・TBS DOCSチェアマン太田光
「こんな人生を送っている人がいるのか!」と同い年のクライマーの存在に驚愕!
俺たちはどれだけぬるま湯で生きてきたのか…。
観ればきっと勇気をもらえるはず。私のおすすめの1本です!
俳優市毛良枝
日本を代表する極限のソロ・クライマー。
でも、山野井さんに会うと誰もが彼の人柄に惹きつけられる。
魅せられた取材者が伝える彼の歴史とこれからと、よくぞ出会ったパートナー、妙子さんとの暮らし。
撮る側と撮られる側の信頼感にともなわれて、厳しい登攀の合間に穏やかな時間が流れる。
カメラの前でもいつものままの自然体で語り、ふたりらしい普通の暮らしを見せてくれる。
山好きの人はもちろん、すべての人に、山野井泰史という人を見てもらいたい。
プロフリークライマー野口啓代
私は最初から競技の世界に入ってしまったので、雪山やアルパインの経験はないのですが、登りたいという気持ちや、目標に向かって作戦を立てトレーニングして挑むときの気持ちなど、共感できるところがたくさんありました。山野井さんは、山を登るために生まれてきた方、全クライマーが目指すべき存在。偉大な方と再確認できました。
芸人東野幸治
山野井さんにとって登山とは?って聞かれたら
「生死の狭間で生きる喜びを味わえるのが登山です」って答えるのかな?
だがこのドキュメンタリーを観た私が「山野井さんの登山とは?」って聞かれたら「なぜそこまでして登るの?」
「なぜそこまでして1人にこだわるの?」「なぜ周りの人達が死んでいくの?」って答えると思います。
否定も肯定もできない山野井泰史の登山が!生き方が!命が!たっぷりと描かれてます!
観なきゃ損です!是非観てください!
芸人庄司智春
岩壁を掴みながら一つ一つ上がっていく姿は、
自らの命を丁寧に掴みながら生きているみたいで感動しました。
凡人の私にはヒヤッとする瞬間が何度もあったが、普通では観ることの出来ない貴重な映像と山野井さんの生き様が生々しく剥き出しに描かれて、衝撃を受けました。
生死の堺を何度も経験した人がなしえるその達観した人となり。
マカルー西壁にアタックした時の夫婦間のシーバーでのやり取りが、心打たれました。
是非皆さんに観てほしいです。
生まれてきたこと、そして生きていくことを、改めて考える事の出来た素敵な作品でした。
俳優阿南健治
ラジオドラマで演じた事で山野井さんを初めて知って、伝えたいと強く思った。
この映画を観て、そのリアルさと過酷さに、より山野井さんの事を熱く語り、人に教えたくなった。
世界の山々へ単独で挑み、未踏を求め、次々に山を全身で抱きしめ続けて進んで行く、
人間、山野井泰史さんの事を。
女優・タレント村井美樹
何という生命力…!
死の淵に立ち、手足の指を失っても、多くの友人を山で亡くしても、それでも垂直の世界へ挑み続ける山野井さんの姿は衝撃的。何度も息を飲み、震えながら映像に見入りました。
「あの山に登りたい。ただそれだけ」そう語る山野井さんの眼差しは、少年のようにどこまでも澄んでいて、眩しい。
生きることの尊さ、崇高さを感じずにはいられない、凄まじいドキュメンタリーでした。
俳優井之脇 海
”命の手触り”を確かめながら踏みしめる、山野井さんの一歩一歩に、背中を押されて勇気をもらえた。
自分の目の前にある、小さな”壁”から乗り越えてみよう。
モンベル代表辰野勇
人生を山に捧げ、数多くの挑戦を続けてきた山野井氏。
等身大の彼を見ることができる貴重なドキュメンタリー作品です。厳しい山行で指を失っても今なお、岩壁に向き合うその姿は見ている人を魅了する。彼の山に対する情熱が直に伝わってくる快作だ。
登山家・作家服部文祥
「内臓が腐るほどの恐怖」「冷静な発狂」
現場で発せられた伝説の名台詞が映像に残る。
個人の登山史を越えたクライミングの歴史。
アルパインクライマー・山岳カメラマン(石井スポーツ所属)平出和也
こんなに自分に正直に生きている人を、私は他に知らない。
特異な野生本能で未知なる課題に向かう姿は登山家の鏡であり、その足跡はいつも心を奮い立たせてくれる。
何よりもストイックな挑戦から生還し続けていることは私の理想だ。
長年夢を追い続けているからこそ、生まれる葛藤が記録されている。きっとその中には取り返しのつかない後悔だってあるのだろう。
私たちは完璧ではない。だから色んなものを克服しながら生きている。
前を向いて生きていくヒントはこの映画の中にある。
毎日新聞論説委員元村有希子
垂直の世界への、狂おしいほどの憧れと畏れ。生と死。栄光と挫折。
そのあわいに身を置き続けてきた山野井さんの生き方が、圧巻の映像とともに描かれ、心を揺さぶられました。
マカルー西壁に阻まれてから四半世紀。ギャチュン・カン北壁登頂後の死闘から20年。静かでひたむきな登攀人生の「第二幕」にカメラを向けた武石監督にも拍手を贈ります。
映画プレゼンター赤ペン瀧川
常人の限界を超える超人であり、挑戦をし続ける努力の天才である山野井泰史。そんな彼の“一途すぎてもはやクレイジー”な部分もしっかり映し出す振り幅広めのドキュメンタリー。最高という言葉しか出てこない。
脚本家・「アルパイン・クライマー 単独登攀者・山野井泰史の軌跡」原作よこみぞ邦彦
脚本家として山野井泰史とゴルゴの取材で出会って、はや27年にもなる。
命綱を使わず登る姿を目の当たりにした。
平然と「死ぬかもしれない登山が好きだ」と語っていた。
そんな私だが「人生クライマー」で彼を見ていたのはほんの一端だったと思い知らされた。
この映画は長年見てきた山野井とは違う世界を見せている。
息を飲んで魅せられていた。
登山YouTuberMARiA麻莉亜
私自身登山YouTuberとして活動していますが、山野井さんは遥か雲の上の存在です。激しい孤独感と達成感と恐怖が単独登攀という究極の挑戦によってさらに研ぎ澄まされるのを映像の緊張感から感じ取ることが出来るようでした。どんな逆境にも負けず好きなことを追求し、戦う姿を見て挑戦する事の楽しさと厳しさを教えてくれる映画でした。
登山YouTuberJIN
山野井さんの生き様を見て、かっこいいと思わない山好きはいないと思います。この作品ではマカルー西壁挑戦を軸に物語が進んでいき、山で何度も重症を負う山野井さんが出てきますが、そこに後悔が感じられないのは、本当に好きな事を極限まで追い求めてやってきた結果なのだと感じました。山好きならもちろん、それ以外の方でも、人生に大切なものを感じさせてくれる。そんな素敵な作品に仕上がっていると思いました。
モデル / 登山系YouTuber山下舞弓
山が好きでソロの魔力に取り憑かれた1人のクライマー。
長年抱いていたマカルー西壁の挑戦は手に汗握る思いで観ました。常に生と死がせめぎ合う中で命の手触りを感じながら登る山野井さん。その過酷な挑戦には、妻でありパートナーでもある妙子さんの大きな支えを感じました。
初登攀にこだわり生涯挑み続けているお二人の生き方に、とても前向きな気持ちになりました。
登山YouTuberイタガキ
同じ山を楽しむ者として恐縮ながら「一人でやり遂げること」を求める山野井さんに共感を覚えました。単独で山に挑むのは危険を増す行為ではあるのですが、何ものにも代えがたいその達成感はまさに麻薬。孤独や困難が待っていると分かっていてもそれを求めてしまいます。結果として山野井さんは手足の指を失ったりと大変な目には遭っているのですが、それを語るときの屈託のない笑顔がとにかく印象的で、伝説のクライマーとしてはもちろん、一人の人間として魅了されてしまいました。山好きという枠を超えて是非多くの人に見てもらいたい映画です。
週末YouTuber/登山女子やまくっく・やぎちゃん
終始、「こんな世界あるの!?」の連続でした。山野井さんはわざわざ極限を探し出して、未踏ルートでの登頂にこだわって過程や厳しさを楽しんでいます。山行を決める時に、いかに穏やかで楽しく山での時間を過ごせるかを重要視する私にとっては、考えられない思考回路でした。この映画がきっかけで、本気で挑戦し生きる人を知ることができました。ありがとうございます!